アート誌 République des Artsに掲載

日本のアーティストをパリに紹介するアート誌 République des Artsに私の作品と、文化勲章受賞者であるフランソワーズ・イカール芸術振興協会会長の批評を掲載していただきました!

パリ市内のあちこちのキオスクで販売されています!

パリの皆様に楽しんでいただけますように♪

イカール会長の評は以下のとおりです。

【劇的な叙情性】

Sakiko Yanagisawaは、作品の中で「雨」を重要なテーマの一つとして探求しています。ここで紹介される3点の絵画もその一環ですが、彼女はこれまでに数多くの雨を題材とした作品を手がけており、それらは書籍や展覧会のカタログに掲載されるだけでなく、国内外の個人や公共のコレクションにも収められています。こうした実績が示すのは、Sakiko Yanagisawaの視点が極めて独創的であり、その表現が高く評価されているということです。

彼女の作品には、水墨画の技法と書の要素が融合しています。実際、文字は単なる言葉としてではなく、構成要素の一部として用いられ、絵画の中に溶け込んでいます。「雨」という言葉は、雨粒を思わせる視覚的なモチーフとしても、繰り返し刻まれる記号としても機能し、降り続く雨の永続性を象徴しています。彼女は雨の強弱を表現するために、淡いグレーから鮮やかな青まで、さまざまな色調の背景を用います。また、時には黄色の光を加えることで、雨の先にある晴れ間を予感させることもあります。水は地面を伝い、溜まり、波紋を広げていきます。そこに文字が重なることで、雨がもたらす動きや広がりがより強調されていくのです。

Sakiko Yanagisawaの作品は、雨を通して、私たちがこの自然現象に抱く感情を映し出しています。例えば『雨1』では、雲の切間から光が差し込み、雨が止みかけている情景が描かれています。「雨の後には晴れが訪れる」という希望を込めた作品であり、現在の憂いの先にある明るい未来への期待を表現しています。雨粒は重くなく、ポツポツと落ち、軽やかな雲の向こうに光が透けて見えます。

一方で、『雨2』は、黒と白のモノクロームで描かれた作品で、降り積もる雨雲と広がる水たまりの様子が表現されています。暗く沈んだ水溜りは、不安や停滞を感じさせ、見るものに静かな諦念を抱かせます。この作品では、雨をただ受け入れ、成り行きを見守るしかないという無力感が描かれています。自然の力には抗えないーそうした静かな認識が込めらているのです。

そして、『雨3』では、視界を遮るような激しい豪雨が描かれています。空は完全に曇り、降りしきる雨が終わりのない見えない時間の流れを暗示しています。灰色の背景には「雨」という文字が折り重なるように配置され、雨そのものの重なりを視覚的に強調しています。しかし、この作品には、ひときわ目を引く赤い傘のタッチが加えられています。これは、どれほど激しい雨であっても、それに抗いながら生きる意思を象徴しているかのようです。雨はさけられないものかもしれませんが、傘を手にし、日常を歩み続けることはできるーそんな前向きなメッセージが込められています。

Sakiko Yanagisawaは、たったひとつの「雨」というテーマを通じて、多様な感情や視点を描き出しています。彼女の表現は詩的でありながら力強く、見るものにさまざまな思索を促します。

全体
20250226 210922
20250224 101727
20250224 102000
20250224 102042
20250224 102241
20250226 205929
20250226 210229
20250226 210253
20250226 210319
20250226 210345
20250226 211004
20250226 211109
Sakiko Yanagisawa